平成21年4月から品川区が展開している今後10年間の計画としての品川区長期基本計画には、「都市型観光を推進するため、既存の観光資源を再発見するとともに魅力をPRし、地域ブランドの確立をめざし、来訪者にとって分かりやすく利用しやすい情報提供を図り、満足度の高い「もてなし」のための体制を整備します」とあります。
その一環として「観光スポットとしての商店街」を実現するためのコンテンツや情報提供サービスの整備が求められています。
戸越銀座商店街においても品川区の上位計画と連動して、平成21年から「都市型観光」という視点を取り入れたまちづくりを推進しています。
その成果もあって、近年観光を目的とした来訪者が増加しています。
しかし、当初は「都市型観光」という言葉自体のもつ印象によって、商店街の関係者に受け入れてもらえるまでに多くの時間がかかりました。
商店街を観光地化するという意味に捉える人が多く、お土産屋さんが並ぶような商店街をイメージする人が多かったのです。
そこで今一度、戸越銀座の目指す「都市型観光」を定義し、商店街での共有を行いました。
平日は従来どおり、地域密着の近隣型商店街として、また地域コミュニティの担い手として、今まで以上に地域に愛される商店街を目指し、土・日・祝日については観光資源として広域から人々が行楽に訪れるような商店街にしていきます。
この取り組みで注意すべき点は、いわゆる観光地のようにお土産物屋が建ち並ぶような、観光客のみを相手にする商業集積ではなく、地域密着の商店街でありながら、行楽としての魅力を兼ね備える商店街にするということです。
ナショナルチェーンが増えて個性が失われていく商店街や、商売そのものが成り立たないシャッター通りの商店街が増えていく中で、昔ながらの個性的なお店や人情あふれる商店主が集まる商店街らしい商店街が消失しつつあります。
しかしながら、戸越銀座は現在も生鮮3品のお店が残っており、下町情緒たっぷりの古き良き時代の商店街らしい商店街の様相を保っているからこそ、そこがメディアなどにも注目されているのではないでしょうか。
戸越銀座は、地域の生活インフラとしての商店街で、人情味あふれる個性的なお店や店主の多い、みんなに愛される商店街らしい商店街を目指した先に、大型の量販店等とは異なる魅力が生まれ、商店街が活性化していく道があると考えています。
それが戸越銀座の目指す「都市型観光商店街」なのです。